COLUMNコラム
2019
September
26
イギリス

英国ティーカップの歴史

今回はサンダース・ペリー化粧品生まれの地イギリスの
ティーカップの歴史をご紹介します。

お気に入りのティーカップで紅茶を楽しむ時間は、少しだけ非日常が味わえる、
優雅で、心癒されるひと時。

お茶を楽しむために作られた「ティーカップ」。
英国紅茶の文化の発展と共に、ティーカップも進化を遂げてきました。

お茶の歴史は、紀元前2700年頃の中国から始まり、英国に伝わるのは15世紀後半の大航海時代。
西洋では磁気を作るノウハウがまだなく、
王侯貴族らは中国から輸入された「ティーボウル」で喫茶を楽しむのが富と身分の証でした。

18世紀頃、日本の柿右衛門様式の色絵磁器に着想を得た、
色鮮やかなティーボウルが出回るようになります。
この時代、お茶の習慣は一般市民へと広がります。

1740年頃から、指の熱さを解消するために「ハンドル」を取り付けた
ティーカップが製造されるようになります。

ティーガーデン(お茶を楽しむ庭園)や健康志向として紅茶が注目されるようにもなり、
1745年英国産の陶磁器が生まれます。
よく耳にするボーンチャイナ(動物の骨粉を混ぜて焼成する独特の輝きを持った磁器)が誕生し、
また、日本でも有名なウェッジウッドが、
美しい乳白色の「クリームウェア(後のクイーンズウェア)を生み出し、
食器に関心を持たなかった人々の生活にもティーカップが浸透し始めます。

その後、日本の伊万里焼などを模した日本風のパターン、そしてブルー&ホワイト、
今でも人気のウィローパターン(柳文様)などをミントンが完成させています。

1830年以降にビクトリア女王が即位すると上級階級で「アフタヌーンティー」が流行。
次々と“華やかで贅をつくした女性らしいカップ”が登場します。
中産階級にもアフタヌーンティーが広がると、小花柄のカップなどが大流行します。

王室と共に紅茶の文化が育まれ、広く一般市民へと浸透したティーカップ。
時代によって流行も変わっていきます。

ジャポニズムブームで浮世絵を取り入れたものや、19世紀末に大流行した「紅茶占い」により、
フォーチュンカップも広まりました。
様々な歴史と変遷を経て、今もティーカップは進化しています。

ストレスフルな日常の中で、紅茶やティーカップは、
優雅で和やかな癒しのひと時をもたらしてくれます。お気に入りのティーカップを使う満足感や、
美しいティーカップを愛でる美意識はきっと私たちの生活の活力となります。

今日の午後は、お気に入りのティーカップで楽しいお茶会を開いてみませんか?

(参照:河出書房新書「図説 英国ティーカップの歴史」著:Cha Tea紅茶教室)